Myコラム(8) 「介護職のストレスと解消法について」

 介護職は多くのストレスと抱えていると言われます。一方で介護職を天職のように毎日生き生きと仕事をしている方だっています。では、どのくらいの割合の人がストレスを感じているかというと、ある調査によれば、「介護従事者の87%が日常的にストレスを感じている(株式会社SOKKIN:介護士のストレス事情の実態調査より)」という結果も出ています。

 私がかつて現場で介護士として勤めていた頃の肌感覚から言って、この結果は少し大げさにも感じますが、やはり他のいくつかの職種でも働いた経験から言っても、介護職の現場は一種、独特の雰囲気はあります。

 ストレスを感じる要因の上位から言って①上司や同僚との人間関係 ②業務量の多さ ③利用者とのかかわりの難しさ ④給料が安い の順になっています。これも私の感覚と少々違い、「人間関係」などについては個々の職場環境やチームの結束力を上げることなど、特に管理者やリーダーの頑張り次第で改善できるのにと思ったりもします。現実は口で言うほどやさしくないのでしょう。

 ストレスの要因のうち、絶対的な社会課題である人材確保の問題、処遇の問題などを除いては、個々の事業所や執行部が取り組むことで改善できる余地があると考えています。

 「利用者とのかかわりの難しさ」は、難しさがあって当然と思います。「利用者とのかかわりなんて簡単」というほうがむしろ問題でしょう。「難しさ」を感じているということは、それだけ真剣に向き合っているからで、「よりよいかかわりや支援」を求めている証拠かもしれません。

 特に認知症ケアに携わる方々にとっては、「ケアの本質(理念)」を理解し、「認知症に関する知識」を深め、そして「ケアの質」を高めていくことが、もっともストレスが溜らない最善の方法だと考えています。そうすることで、ストレスが溜らないどころか、仕事に意味とやりがいを見出すことが出来、また次の勤務に行きたくなるモチベーションを上げてくれることでしょう。そのようになるためのもっとも近道は、私も関わっていることですが、一連の「認知症介護実践研修」を受けて自己研鑽を図ることだと考えています。

 もちろん、自己研鑽は専門的な分野だけにとどまりません。介護にとても必要なのは、知識や技術のみならず「人間力」だと思います。人間力を磨くために本を読んだり、映画を見たり、いい音楽を聴いたり、野山を散策したりするのはとても大事でしょう。

また、ストレス解消のためにお休みに遊びに行ったり、旅行したり、仕事後に飲み会で発散したりするのは、またそれを楽しみに仕事をするのは、短期的にはとても大切なことだと思います。ストレスが蓄積するということは、心身に大きなダメージを与えることがありますので。

 一方で、長期的に考えれば、仕事をするためにもっとも大事なのは、自分が「ウェルビーイングの状態にいること」ではないかと思います。「ウェルビーイング」とは、「人生のよりよいあり方を意味し、身体的、精神的、社会的に良好な状態を表す概念である」(認知症ケア用語辞典 (一社)日本認知症ケア学会)とあります。長期的に「ウェルビーイング」の状態にいながら仕事をする、というのは、やはり仕事にやりがいを感じたり、モチベーションをいつも高い状態に保つこと、それはその人自身のケアの質が良くなることに他ならない気がします。

 せっかく介護という仕事に就くのなら、「負のスパイラル」ではなく、そのような「正のサイクル」に入ることができれば儲けものですよね。

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