#145 「プラマイゼロの世界」

 最近メールを開けて、「迷惑メールフォルダ」を開けてみたら、同じような時間帯に実に20件くらいの大手企業を語ったフェイクメール(詐欺メール)が入っていました。最近は(やり取りがない)大手企業の名前で入ってくるメールはすべてフェイクメールを疑い、一瞬のうちにゴミ箱の闇に葬り去ることが多くなりました。

 迷惑メールフォルダはほとんどのフェイクメールを仕分けしてくれるので有難いのですが、たまに普通のやり取りのメールが誤って入っていることもあるので注意が必要です。どうも「添付ファイル」がついているメールは迷惑メール、詐欺メールとみなされることが多いようなので、大事なやりとりをしている場合は「届いたかどうかの確認」も必要で、手間がかかります。

 まあとにかく今の世の中、無駄な心配ごととそれに伴う手間が増えました。便利になった一方で不便にもなっています。なにしろ、ネットにはフェイク画像や情報が溢れています。また、それに騙されて信じてしまうことで、無意味な追随、心棒、疑い、怒り、誹謗中傷などが拡散し、渦を巻いていくことになりますよね。IT技術の革新によって得られる大きな恩恵と、その裏側でさらされる無駄な時間の心配や不安。つまるところ、プラマイゼロですか。

 ここのところ、自分だけでなく、回りの人たちからはほとんど例外なく詐欺まがいのアプローチがあったという話を聞きます。まあ、私が日々交流する人なので、だいたい同世代位からの情報ですが、100%の人からそういうことがあったと聞くと言っても過言ではありません。その人々の普段使いのツールによって、電話、メール、LINE、SNSなどの違いこそあれ何らかの方法でのアプローチがかなりの頻度で行われているようです。詐欺(まがい)のやり口は様々ですが、警察を語る、年金機構を語る、区役所を語る、税務署を語るなどのアナログ・アタック型から、通信会社や通信販売などのメールからURLに誘導するフィッシング詐欺、明らかに国際電話(しかもあり得ない国番号を使うフェイク国際電話)からの電話作戦型特殊詐欺など引きを取りません。電話での特殊詐欺は多くの人が対応に慣れて来ていて、「誰?誰?誰?」と何度も聞く、とか「しゃべらないで放置しておく」とか、「さんざん構ってから突然切る」とか鬼退治の方法を心得ている人も多くなったようです。

 もちろん、特殊詐欺のやり口も進化していく。対応の仕方も進化していく。するとまた特殊詐欺の仕方が進化するといったようないたちごっこが繰り返されます。その中で「鬼退治」の方法が上手くできない人々が、まんまと鬼に喰われてしまい、その結果2024年の特殊詐欺被害総額は700億円を超えたということです。そして往々にして、それらは「社会弱者」から追い打ちをかけるようにむしり取られていくことが多い気がします。

 もともと地域福祉を担おうと思った大きなきっかけが、「地域の弱者がさらに身ぐるみはぎとられる」そのようなまったく理不尽な詐欺被害が何とかならないものかと思ったことです。もちろん、私たちだけでなんとかできることでもありませんが、それらの予防啓発の末端くらいは担えるんじゃないかと思っています。みなさんもくれぐれも気を付けましょう。

(写真:「ウィルスを除去します」というウィルスがあったらどうする?)

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