#116 「The Bucket List」

もう何年前だったか、‘The Bucket List‘(2007米)という映画を見ました。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという二人の偉大なる名優が共演し、死期迫った友人の死ぬまでにやりたいことを10のリスト(バケットリスト)にして、それを次々にかなえていくというミラクルストーリーです。映画自体はいいところ、佳作でしたが、何とも思いのあふれる切なく愛しくなる作品でした。邦題は「最高の人生の見つけ方」という、邦画タイトルあるあるのつけ方でしたが、なるほど、人間はいくら死期が迫っても最高の人生を見つけることができるという希望を感じさせてくれるものでした。

 最近、仕事や地域活動で「終活」、「ターミナルケア」、「人生会議(ACP)」や「ホームホスピス」のようなキーワードと多くかかわり、また、妻が神経難病を患ったこと、父が90歳代をひた走っていること、弟が心臓であの世に行きかけたこと、また自分自身の病気が増えたりして、どうしても「人生の締めくくり」について考えることが多くなってきました。

 まあ年齢からしても、私は今年の誕生日でいよいよ(制度上は)高齢者のお仲間入りです。そんなことを言っているうちに、すぐに後期高齢者になるのでしょう。年を取ると本当に光陰は矢どころか、ロケットのように飛んで行きます。日常のルーティーンでも「確かさっきやったよな、うん、そんな記憶がある」と思っていたら、よくよく考えたら昨日のことだったりします。30代では考えもしなかった「人生のしまいかた」という命題が他人事ではなくなります。「何年生きた」よりも「あと何年生きる」ということに目が行きがちになります。

 さて、ここからはそんな憂鬱な思いにはピリオドを打って、グッと話を楽しくしていきましょう。自分のBucket Listを作ってみようと思います。今までに何回か作った記憶はありますが、これはその時その時で変わりますからね。え?変わったらBucket Listの意味がない?そんなことはありません。ACPの内容も、そこで示されたLiving Willも、遺言だって途中で変わっていくのに、Bucket Listが変わらないわけがないのです。それは、その時に自分が直面していること(自身の病気、自然災害、事故、その他家族や周囲の大きな出来事など)によっても変わりますし、単なる気分や、そのときの自分の感情や真情の変化によっても変わりますから。

 Bucket Listは、子供の時に「将来何になりたいか」をよくクラス新聞や卒業アルバムに書いたように、「自分の夢」を語る部分が多くあると思います。「かなわない夢はない」という向きもありますが、「夢」は夢として、かなわなくても人を幸せにしてくれるような気がします。Bucket Listを書いたがいいが、1週間で忘れて放置していた・・・ではダメでしょうが、ちょっと叶いそうもないことでもリストに入れて、その姿を夢想しながらグラスを傾けるのも、その人のQOLをグッと上げてくれるのではないでしょうか。

 さて、そこで私のBucket Listです。「アメリカに留学する」「インドを旅する」「中国の四川省からチベットに行く」「H社の新車のSUVを買って遠乗りする」「本を書く」「有名人になる」「1万冊の本を読む」「この世から特殊詐欺を一掃する」「大学院で勉強する」「死ぬその日まで勉強する」とりとめもないことが浮かんできます。何年前だか前回やった時からはほぼ変わっているはずです。そして一週間後には変わっているかもしれません。でも今日は、この中の一つでも実現すればいいなあと思う64歳と4か月。

(写真:映画.com 映画紹介サイト 「最高の人生の見つけ方」(2007) より)

コメント

コメントする

目次