「チラシお断りします」

今までの職業や事業の全般にわたって、どういうわけか「各戸にチラシのポスティング」という作業が非常に多くありました。なので、チラシ配りに関しては、ある程度ベテランと言ってもいいかもしれません。

特にある地域を拠点にしている仕事では、各戸を隈なく回るという意味で、チラシ配りをしていると、その地域のことがよくわかります。逆に言えば、その地域のことを知るためには、チラシ配りは恰好の方法と言えます。もちろん、配るだけで何が分かるのという言い分もわかりますが、その家々からは住人さんたちの生活の様子が垣間見えますし、その地域の地域課題が少しは見えてくるというわけです。裕福さや貧しさ、ゴミの問題、立地による買い物の便宜(坂道や階段など)等いろいろです。

さて、チラシ配りの「歴史」を語る男が、その歴史の中で一つ言えることは、「チラシ類お断りします」あるいは、その類の張り紙が年々多くなってきたということです。マンションなどの集合住宅はまだしも、個々の一戸建てでもそのような張り紙を掲げているお宅が増えてきています。

昔は、張り紙があってもあまり構わず入れまくっていましたが(かなりのコンプラ違反として問題になりますよね)、最近はやはり張り紙のある集合住宅や家への投函は出来るだけやめるようにしました。また、チラシには、やたらと詳しく連絡先を書かないこと、特に個人の携帯番号は入れないようにしています。ただこんなことはすべて対症療法で、リスク管理のためだけなので、自分でもあまりいい気持ちはしませんけどね。

さて、この「チラシ類の投函を一切お断りします」の張り紙ですが、どうもその都度、がっかりしますし、悲しくなります。特に集合住宅では、これって本当に各戸の住人が総意でそのように望んでいるのかなと思ってしまいます。管理者のセキュリティー上の問題か、さもなければ一部のクレイマーさんが声高に言っているだけなんじゃないかなと穿った考えをしてしまいます。

ドミノピザの割引のチラシ、欲しくないのかな。子供さんが塾に通うための情報とか要らないのかな。いこいの広場3丁目のこと知るチャンスがなくて可哀そう。

まあ正直に言って、自宅のポストに(うちのマンションは、このようなチラシお断りの規制はないので)毎日山のようにチラシ類が入っていると、正直イラっとしますし、ろくに読みもせずにだいたいゴミ箱に行くので、あまり胸を張って言えることではありませんが、その人にとって必要な情報、必要ではない情報を分別すればよかんべ。必要な情報はさらに厳選してゴミ箱行きにすればいいじゃないですか。

ポストに入った郵便物やチラシは、ちょっと大げさに言えば、外の世界と内の世界をつなげる大切な媒体だと思います。地域の見守りの仕事をしていたときに、まさに鉄壁のブロックで外界から閉ざされた人に、しつこくメモを入れて、結局支援につながったという例がありました。まさにそれは、「命を守るお節介」ではなかったかと思っています。

メモとチラシは確かに違いますが、チラシだって、人の命を救うことが一万回に一回もないなんて言いきれないですよね。少なくとも外の世界に対する興味を引き起こすという重要な役割はあるはずです。

そこまで大げさに言うことではないかもしれませんが、出来るだけ「チラシ類一切お断り」は門戸を開放してもらえればなあと願っています。あ、もひとつ理由を言うと、大型集合住宅でチラシを配れるということは、大幅にタイムパフォーマンス(タイパ)を上げられるということですから(笑)。

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