Myコラム(7) 「介護人材について」

厚生労働省の試算では、2025年には245万人の介護職が必要であるとしています。数字だけ聞いてもピンときませんが、現在の小中高の教職員数の約3倍、国家公務員数の約4倍と聞くと、その数字の大きさに驚いてしまいます。この必要数を確保するのに、毎年、約6万人ずつの介護職を新たに確保する必要があるとしています。

「2025年問題」と言う言葉が使われ始めてから久しいですが、この2025年という年は、日本の人口ピラミッドの中でも突出して多かった「団塊の世代」と言われる世代がそろって75歳の後期高齢者を迎える年で、「そこで想定される社会問題」をまとめたものが「2025年問題」です。2025年は、ここ20年来の日本の高齢者施策のひとつのターゲットとして使われてきた年で、介護関係の研修などでもだいたい紹介されるトピックとして「将来は大変なことになる」というニュアンスで説明されてきましたが、それがもう来年のことだと知ると驚いてしまいますよね。

 さて、「そこで想定される社会問題」というのは、すなわち高齢者数に対して、あらゆる公的社会資源が不足する問題です。そしてその中には、介護のマンパワー不足の問題も含まれています。

 社会資源の圧倒的な不足は、多くの介護難民を呼び、貧困、ホームレス、孤独死といった社会問題を増長し、社会から活気を失わせ、社会全体が暗くなる・・・とネガティブな想像ばかりしていても埒があきません。世界を見ると、ただでさえ、気候変動、戦争による情勢の悪化など解決すべき問題は山積みになっています。ここは、やはり地域の力、国民一人ひとりが助け合う力で乗り切っていかないといけません。

 話の焦点がぼやけてきましたが、トピックは「介護人材の不足」ということでした。

年間6万人確保の急務、その中で国が緊急対策として打ち出したのが、それまでEPAや技能実習制度などに限られていた外国人人材の受け入れに、2019年に新たに「特定技能」の制度を加えたことです。在留資格「特定技能」は、「深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度です」と明確に人材不足の対応策である旨の目的が示されています(出入国在留管理庁資料)。

 特定技能「介護」については、特定技能1号に分類され、基本的な日本語能力と、介護技能を持っていることが要求されます。これらは、その母国で身につけて、資格申請して許可が下りてから入国するのが基本ですが、すでに日本国内に別のビザで留学、就労されている人が「特定技能」ビザに移行することも出来ます。介護の場合は、日本語試験、介護技能評価試験(母国語での受験が可能)、介護日本語評価試験の3つの試験に合格し、移行の申請することで特定技能のビザを取得し、最長で5年間滞在することが可能です。もちろんその後、介護福祉士国家試験に合格することでさらに延長して仕事ができます。

 私の個人的な感覚では、外国人の方はとても介護職向きであるように感じます。それは、なにより「感情を表に出して人と接する」ことが自然に身についていると思われるからです。

親しみを身体全体で表現し、破顔一笑する。高齢者には、言葉での説明よりも感情で接することのほうが伝わりやすいということを考えると、もっと外国人に日本の介護業界に入ってきてほしいと願う日々です。

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