#072 「When I’m Sixty-Four」

昨夜降った雨も上がり、綺麗な秋空です。間違いなく今年一番の秋日和、でも明日からはまた元に戻るらしいです。今日は10月20日、私の64回目の誕生日ですが、だいぶ前までは、誕生日が来るとこたつを出したり、洋服を冬物に入れ替えたりしていたイメージがありました。そういう意味で、私の誕生日は冬支度をするためのリマインダーみたいなものでしたが、気候変動はそれも変えてしまいました。

 で、今日のトピックは「64回目の誕生日」です。でも決してずっと前からこれについて書こうと待ち構えていたわけではありません。今朝になって、妻から「おめでとう」と言われて、「今日で64歳か・・・」ということでピンときたのが、ビートルズの“When I’m Sixty-Four”でした。

 この曲は「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」という、ビートルズが活動したたった8年の中でもちょうど後半に入ったくらいに出されたアルバムの中の1曲です。アルバムの収録曲はかなりディープで「通が聴くような」曲も多い中、この1曲だけは雰囲気の違う、例えれば「箸休め」のような曲として収録されています。私も学生のときに初めてビートルズを聴き、夢中になっていた時期があって、当時はカセットテープ何本にもFMから流れてきた曲を録りためていました。その中でもこの曲を聴いたときは確実に肩の力が抜けて、穏やかな気持ちになって自分が64歳になったときに思いをはせていたような気がします。

 最近でこそ、SNSのプラットホーム「クラブハウス」の中の素敵な一番組に参加することで「洋楽の歌詞をひもとく面白さ」を味わわせてもらったりしていたのですが、それまで音楽は、ほとんどメロディー主体で聴いており、あまり歌詞の内容を意識したり、深読みしたりすることはありませんでした。

 そして、この”When I’m Sixty-Four”も同じでした。自分が64歳になったときのことに思いをはせながら、ふんわりした気分で勝手なイメージをつけながら聴いていた気がします。その時の反省も込めて、今日は最初のコーラスだけでもちょっと歌詞をのぞいてみたいと思います。

When I get older losing my hair

Many years from now

Will you still be sending me a valentine

Birthday greetings, bottle of wine?

If I’d been out till quarter to three

Would you lock the door?

Will you still need me, will you still feed me

When I’m sixty-Four?

 なかなか細かい情景描写ですよね。微笑ましい二人の関係が見て取れます。この二人は夫婦と考えてもいいし、恋人と考えてもいいでしょうね。ネットで聞きかじった情報によれば、ポールが16歳の時にお父さんの年をイメージして作った曲ということですが、そのときのお父さんは64にはなっていなかったはずなので、毎年、歳を57、58、59・・・と歌詞を変えながら歌っていたのではないかということでした。いずれにしても当時のポールにとっては「遠い未来」の自分の姿を穏やかに想像して作った曲だったのでしょう。

そして私が最初にこの曲を聴いたのが20歳。私も同じく64歳になった自分をイメージしていました。そのイメージは、やはり「立派なじいちゃん」です。しかし今日64歳になって思うのは、髪の毛についてはさておき、自分で言うのも何ですが、その時抱いていたイメージよりは自分は若いのではないかということです。それは、身体的というより精神的な部分が多いような気がします。世界全体が長寿化し、健康年齢も上がってきた今、”When I’m Sixty-Four”の曲は”When I’m Ninety-Four”と作り替えてもいいんじゃないでしょうか。ねえ、ポールさん。(いつまでも現役で頑張ってください!)

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