#062 「尊厳とプライド」

ずっと、尊厳を英語で言うとprideだと思っていました。しかし、今朝ふと、定番のあんトーストを食べながら思ったのが、「まてよ。prideと尊厳とは果たして一緒の意味なのか」と疑問を抱き始めました。あんトーストとプライドがどう結びついたのかはすでに忘却のかなたですが。

 なぜ疑問を抱いたのか、それは明らかに日本語で「プライド」というのと、「尊厳」が違うもののように思ったからです。それで試しにネット英辞郎で調べると、尊厳はdignity, majestyとなっていました。逆にprideで調べると、1.誇り、自慢  2.プライド、自尊心  3.うぬぼれ、尊大、高慢、横柄 とありました。なるほど、「自尊心⇒高慢、横柄」の図式は身に覚えのあるところもあったのでグサッときました。英語のprideは日本語で言う「プライド」とほぼ同等の意味で、「尊厳」とは意味が違うことがわかりました。

 自尊心ですか。つまり、尊厳が他の人がその人に対して守るものに対して、prideは、自分が自分で守るものということでしょうか。なんだかむなしく厳しい現実です。

(写真はLongman英英辞典より)

 確かに、「あの人プライドが高いね」というのは誉め言葉ではないですよね。そして往々にして「プライドだけは高いが・・・」と「だけ」が入ったりします。これは完全な悪口に他なりません。あとは「この仕事は私のプライドがかかっているから、途中で投げ出すわけにはいきません・・・」という使われ方もしますよね。その人にとって、必死で守ろうとするもの、それがプライドですよね。

 人の尊厳は守らなければいけない、というのは私たちもいろいろな研修で学ぶところです。特に認知症ケアとか社会福祉とかを学んでいると、いたるところで出てきますが、まあこれは普遍的なものだと思います。じゃあ一方で、人のプライドはどうなんでしょう。人が勝手にもっている「自尊心」だからどうでもいいのかなと言えば、やっぱりこれも同じく守ってあげなければいけないんじゃないかなあと思っています。「プライドを傷つける」はよく言いますよね。プライドを傷つけた人を「よくやった」と褒めることはあまりないと思います。

 人は自分のプライドを守ることに躍起になります(ことが多いと思います)が、「それが当たり前」とか「常識でしょ」とか「そんなのおかしい」とかということを盾に人のプライドを大勢で全力でつぶしにかかるという文化もあります。そう考えると、私の住んでいる県でとても有名になった人のことも思いだします。でも、いま改めて思うのは、少なくとも「自分のプライドを守ってほしい」と思う人は、人のプライドを全力でつぶしにかかるのは良くないような気がします。「あなたたちの中で、罪のない人がまず石を投げなさい・・・」ではないですけど。

私は自分自身の大いなる反省も込めて、そう思います。

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