#053 「僕が老いを実感するとき(Grow Old With Me) ②」

「アンチ・エイジング」と「エイジング・フレンドリー」、私だったら後者の方を選ぶという話をしました。もちろん、世の中の8割以上の方が興味のある「アンチ・エイジング」について一刀両断に批判するつもりはありませんし、それに成功することは、自分のQOLを高めることに非常に貢献するであろうことは否定できません。

 しかし、もし自然に寿命を全うするということを考えた場合、死ぬ瞬間まで若さを保ったまま旅立っていくことは不可能かと思います。まあ今の技術の進歩の勢いを考えると、「不可能」と言い切るのは早いかもしれませんが。ただ、ほとんどの人にとって「自分が老いてしまった」と感じるときは必ず訪れる気がします。そこからのギアーの切り替えが大変なんじゃないかと何でも早く準備しないと不安な性格の私なんかは思ってしまうのです。今年92歳になる父親が時々見せる「老いとのあらがい」を見ていて、そう感じ、納得することも多いです。「アリとキリギリス」ではありませんが、それだったらアリのようにいつか訪れる冬に早くから心身ともに備えていこうというのが、私の「エイジング・フレンドリー」です。介護が必要になる日が来ても、認知症になっても怖くないくらいに思えるのが理想ですね。

 「自分の老いを感じる」⇒「ちょっとがっかりする」⇒「しょうがないと認める」⇒「できることを最大限がんばったり楽しんだりする」という図式でしょうか。今年64歳で、制度上は来年高齢者になる、というのはちょうどよい機会ですよね。(すでに切り替えていますが)そこで切り替えて、「思い切り高齢者として生きていく」というのは、それなりに楽しくなりそうな気がします。そして早く切り替えれば切り替えるほど、残りの人生は有意義になり、QOLも高くなると思います。

 さて、もちろん世の中で自分だけが老いていくのではありません。そして、家族の中でもみんなが一緒に老いていきます。自分だけが老いていくと思うのも、自分以外の家族ばかりが老いていくと思うのも間違っています。Significant Other(大切な片われ)も共に老いていきます。うちでも、二人の会話がかみ合わないことが多くなり、私もそれを相手の聴覚のおとろえのせいにしていたことを正直に認めますが、なんのことはない、自分の聴覚だって以前ほどは聞こえていないはずだし、何より理解力だって減退しています。そこを反省して、自分の老いも受け入れ、相手の老いも受け入れ、それぞれ認め合っていければいいなと思っています。

 Grow old along with me, the best is yet to be ♬・・・・・・

John Lennonが亡くなってから発表された曲です。

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