#167 「めまいの季節」

 ヒッチコック作品に「めまい(VERTIGO)(1957)」というのがありました。内容はよく覚えていませんが、ヒッチコックだからまず面白かったに違いないし、その映画でこの’vertigo’という単語を覚えました。めちゃくちゃ専門的な言葉で普段はあまり使わないのでしょうが、それでも何かで一つ賢くなるというのはいいものです。

 この夏になって、今までの人生で初めて眩暈を経験しました。少しくらくらした感覚になることは、今までないでもなかったですが、こんなに宇宙遊泳のようにフワフワして、何かに掴まりながらでないと歩くこともできなくなるのは初めてです。また横になって目をつぶると途端に酷くグルグルと頭の中が回転して、吐き気が襲ってきて、余計にひどくなります。座っていても定期的に来る嘔吐で、結局何時間も何もできない状態になります。仮にこんなひどい状態を「発作」と呼ぶなら、7月22日、8月8日と今まで2回の発作に見舞われました。

 耳鼻科に通い、脳外科では脳のMRIも撮りましたが、幸いに脳に異常はありませんでした。耳鼻科では「メニエール病」の疑いもあるので、総合病院での検査を勧められ、それがいよいよ明朝にあります。何とか治療ができるものと思っていたら、「完全には治らない、一生付き合っていくもの」とのことで、今、とてもドキドキしています。

 しかし、今年突然なったこの症状のことをいろんな人に聞いてもらっているうち、8割方と言っても言い過ぎではないほど、「私も実は眩暈があって困っている」という人がいることがわかりました。耳の不調が主な原因になるのでしょうが、その引き金は間違いなく「ストレス」のようです。今生きている人々が生活によるストレス、過重労働によるストレス、異常気象による寒暖差のストレスなどいろいろあるでしょうが、今の社会では心身ともにありとあらゆるストレスに晒されていることは確かでしょう。私はどちらかと言えば能天気で「ストレスフリー」の人間であると思っていましたが、やはりこの異常高温の夏では知らず知らずに身体に大きなストレスを感じていたのかもしれません。

 最近のテレビの天気予報でよく聞くのは、今年は異常高温中の異常高温の年。10月まで平年より暑い日が続き、11月になって初めて平年並みになるそうです。つまり、日本は四季の美しい国ではなくて、もう二季の国になっていきそうです。ちなみにこれだけの高温になった原因はやはり「人為的な活動の要因」が主であり、この人の活動を含めなければ、13,000年程度に一回くらいしか起こりえない気象状況だったということでした。

 また、この夏の暑さのために多くの人が体調不良を訴えていることがわかったとのことでした。その主な原因は「夏のヒートショック」による頭痛や眩暈の症状だそうです。私はこれかもしれない。とにかく寒暖差を急激につけることが問題ということですね。

 何度か書きましたように体質が「まるで体の中にボイラー室がある」ように熱がこもっていますので。そろそろ、夏になったら南半球に移住して秋になったら帰ってくるというような「放浪の民」になるときが近づいてきたのかもしれません。 (写真:「めまい」(1957)アルフレッド・ヒッチコック Movie Walker Pressサイトより)

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