#159 「アジノモト、ヤマハ!」

 かつてのライバル会社をタイトルにするのには少々気が引けますが、どんな成長もよきライバルの存在があるからこそ生まれると・・・いや、今日はそんなことを言いたいのではありません。

 まだ現役バリバリで東南アジアの駐在員として働いていたころ、友人がインドネシアに行ってその帰りにうちに立ち寄ってくれたとき、現地で「ジャパニーズ?アジノモト、ヤマハ!」と言われたそうです。知っている日本製品の名前を連呼したに過ぎないのですが、向こうで生活していると、割とこういう場面はありました。ヴェトナムでは、ほとんどの人から「ホンダ!」といわれましたし、当時サッカーで世界的にも有名になった「ナカタ!」とも呼ばれました。

 時代の特徴だったのかもしれませんが、往々にして東南アジアの国の人々は私たちをウェルカムしてくれました。昔むかし日本軍がどのような悪さをしていようが、昔は昔、今は今という感じでした。「アジノモト、ヤマハ!」と叫んだのは、からかったのではなく、むしろ敬意があったのではないでしょうか。そして、そこにコミュニケーションの一端を作りたかったのだと思います。

 一方、日本人が、日本に来ている外国人へのウェルカムの仕方は、まだまだ足りないように思います。そもそもウェルカムしているのかな?それは英語力が・・・とか島国で歴史的に・・・とかいう問題ではないような気がします。観光でも仕事でも、そんなことは関係なくはるばる外国から来てくれた人々に対しては、もっと敬意と親しみを持ってウェルカムしてあげないと思いますね。

 一方、普段の生活の場で、外国人にわざわざ声をかけてコミュニケーションする機会はそうそうありません。またそういうことは日本人には苦手なジャンルかもしれません。そんなときは「自然にコミュニケーションできる場ができている」機会を利用するのに限ります。2019年のラグビーワールドカップはまさにそういう絶好の機会でしたね。「World in Union」、私も地元神戸では行く機会をいただきましたけど、まあすごかったです。響くバグパイプの音、南洋の人々、タータンチェックのスカートを穿いた人、飛び交う歓声と怒号、歌。あちこちで国籍を超えてしゃべりあったりハグしあったり。

 あとは万博です。私は人込みと暑さが大の苦手ですので、行くチャンスを見極めている間に終わってしまいそうですが、「コモンズ」という多国籍パビリオンが一部の人には人気のようで、行った人の話では、様々な国の人々をつかまえてコミュニケーションできることがとても楽しいそうです。こんなの、またとないチャンスですよ。

 これからますます生き残るだけでも困難な時代を迎えようとしています。そんなサバイバルの時代に、どうやって日本人だけで生きていけるでしょうか。介護の世界でも、建設や飲食業や様々な業種で外国人がいないと成り立っていくでしょうか。今回の選挙の結果を見ながら、そんなことも考えたりしています。

(写真:たかのてるこ「生きるって、なに?」terubooks 表紙より)

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