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#176 「みんなの図書室」
昨日、10月2日に、我らが「いこいの広場3丁目」の第二の居場所「みんなの図書室」が無事オープニングを迎えました。利用者につながる当事者の方やご家族の方の訪問はありませんでしたが、何人かの支援者やお友達がお祝いにかけつけていただき、とても有難かったです。中でも新聞記事を見て、ご自宅に古くから蔵書としてもっておられた文学全集を寄付したいという申し出をいただいた方がいて、当日はわざわざ見本として2冊もってきていただきました。そういう善意のアクションが私たちの目的と見事につながったことが何より嬉しかったです。もちろん、そのご寄付はありがたくお受けすることとさせていただきました。
今回の居場所を開始するのにあたって、二つの幸運なことが続いてありました。ひとつは、9月末に開催した映画上映会・講演会の場で映画のプロデューサーである安成洋さんにご講演をお願いすることが叶い、その場で居場所のプロモーションもしていただけたこと。もうひとつは神戸新聞に居場所についての情報を売り込むと、こころよく取材に来ていただき、記事にしていただけたことです。実際に記事が掲載されてから3件の問い合わせがあり(うち1件は前述の蔵書の寄贈について)、このような活動に一定の理解と興味がある方がいらっしゃることがわかり、それだけでもとてもよい効果があったと思っています。
いろいろな事情で家から出られない、社会参加ができない方々は、その事情が非常に繊細で根が深いがゆえに出たくとも出られないのであって、居場所が立ち上がったからすぐに利用者が押し寄せるようなものではないでしょう。もしそうであれば、その方々は本当の意味で「とじこもっている」わけではないかもしれませんし。
だから本当にこの活動が実を結ぶまでには時間がかかると思いますし、最初は一人、そして二人、それから口コミなどでゆっくり少しずつ形になってくるものだということをあらためて心にとどめながらの活動開始でした。

思えば私が地域福祉に身を置こうと考え始めたのも、本当に地域で生きづらい思いをしている人たち、特に「とじこもらざるをえない人たち」が幸せになる社会が実現できればいいと思ったのがきっかけでした。最初は火曜日の地域の多様な人たちが交流できる居場所、そして今回いよいよ木曜日の「家から出られない人たち」の社会へ出るためのステップとなる居場所へと動き始めました。どうぞこの活動が良い方向に向かいますように。
ところで、私たちが「みんなの図書室」を始めるという話をすると、多くの方は次にこの話題を出すときは「図書館は・・・」と言われます。実際に「多くの本がある場所」「ここにきて本を読む場所」というように思われているようです。無理もないと思いますし、実際に私たちが「本」に対する思い入れがとても強いので、それは光栄なことです。しかし「図書館」と呼ぶほど蔵書の数はないのは事実なので、そのように思って来られてがっかりされてもいけないのでちゃんと説明しておきます。「図書室」です。少なくとも小学校や町の公民館にあったのは図書室でした。それはとても穏やかでゆったりしていて過ごしやすい空間ではなかったでしょうか。要するに目指すのはそんな雰囲気の場所だということで「みんなの図書室」と名付けました。宜しくお願いします。
※私たちのひとつの信条として、居場所の対象である方々をできるだけ「ひきこもり」という言葉を使わないで呼ぼうと考えています。
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