#163 「対処療法とリスクマネジメント」

 こりゃまた固いタイトルだなあ。いやだなあ・・・と言わずにちょっと読んでみてください。日本で起こる、いや世界でもそうかもしれませんが、様々な深刻な事件や出来事が、ことごとく「対処療法」で解決されていくさまは、いつも気になっています。いえ、それで解決できればいいんですけど、結局、そんなにうまく解決できるはずがないんですよね。つまり、「問題に対処した」という姿勢を見せるパフォーマンスにすぎないのではと思います。

 あまり抽象的に言っても何ですので、例えば、だいぶ古くなった橋が突然壊れて車が転落した!それ、築何年以上の橋を全部調べろ!とか、エアコンのない一人暮らしのお年寄りが孤独死した・・・それ、エアコンのない世帯を特急で調べろ!とか、いじめが原因で自殺した・・・それ、全校調査をしろ!とか、やれ応急対策だとか、統計調査だとか、第三者委員会だとか、いつも思うのは「それって本当に未然に防げなかったの?」ということです。

 いやあ、確かになんでもかんでも予測して、リスク管理して、予防するのは並大抵のことではないと思います。だからと言って、「第三者委員会を立ち上げて調査します」とか「責任を取って辞任します」とかお決まりのコースで幕引きを図るのはあまりに無責任だし、「思考の停止」のような気がします。

 その点、介護現場や医療現場は、「リスクマネジメント」ということは普段から口を酸っぱくして言われていることだし、何よりも「対処療法ではいけない、予防が大事」というふうに教育されているので、悪化や一大事を未然に防ぐというのは得意だと思います。いろいろな分野のトップの方々には見習ってもらいたいものです。時にリスクマネジメントが行き過ぎて、行動抑止になったりしてしまうのが玉に瑕なんですが。

 ちょうど一か月ほど前に「The Climate Change」というブログを書きました。まだまだ暑くなると思ったし、やはり「気候変動」は人類にとって最優先の課題だと思いました。つまり優先順位が大事なのです。トリアージです。まずは重篤な状態、命にかかわる問題から先に取り組んでいくのが鉄則に決まっています。結局、どなたも「気候変動に対処する!」というマニフェストを掲げた人なんかいませんでした。命にかかわるというのに。やはり私たちは「喉元過ぎたら忘れてしまう」ではアカンと思います。(写真:舞子浜と六角堂、夏)

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