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#161 「決まりですから。それが何か」
言われてカチンとくる言葉のベスト5を考えるとき、必ず入りそうなのが「それが何か」という言葉です。以前、とある診療科で、妻が何かを尋ねたとき、ドクターに「そうですけど、それが何か」といわれたそうです。それ以降、その診療科は、私たちの間では「それがなに科」というコードネームで呼び合い、その後の受診を避けてきました。それくらい、少し笑えますが、同時に気分の良くない言葉だったと思います。
あともう一つの最優秀賞ノミネートは「決まりですから」ですよね。これはサービス業や窓口業務で聞かれる言葉です。新幹線の切符発行に「予約したカード以外に必ずQRコードが必要なので」とか、銀行の窓口で「代理人が手続するときは委任状が必要なので」とか。まあこちらも「無理矢理ゴリ押しする」タイプのクレーマーではないし、「無理が通れば道理が引っ込む」世の中になるのは困りますので、引き下がるしかないのですが、やはり問題はその使う表現や態度だろうと思います。いくら「当然のことを伝えているだけなのに」と思っていても。
おそらく、人の感情に怒りをもたらすのは、その理屈ではなく、その表現の仕方や態度かなと思います。そこには、「人としての気遣い」や「気持ちに寄り添う」ことが含まれていないように思えるからです。

いえ、何も人と接する職業の人、ここで言っているのはお医者さん、サービス業、窓口業務の人ですが、その人たちすべてがそういう言葉を使っていると言っているわけでは決してありません。というか、「相手がカチンとくる」言葉を使っている人は、ごくごく一部の人でしょう。でも、そういう人たちに代表されてイメージが悪くなるのも不条理ですよね。
毎回同じようなことを聞いてくる人々の相手をする商売の方々は大変だと想像できます。そういう意味では介護職もまさにしかりですね。しかし介護職にはいつも「人の尊厳を」とか「相手の立場に立って」という理念が付いて回ります。「それが事実だからどうしようもない」ことを伝えるのであっても、相手の感情に配慮するような表現を使ってくれたらどれだけ気持ちがいいだろうと思う今日この頃です。
(写真:「おーい、取りやすい球を投げてよ!」)
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