#154 「名曲百選、いや三選」

 いえ、百はいくら何でも書けません。今日は邦楽で三つばかり私が「名曲」と思っているものを上げます。だいたい演歌以外はなんでも聞きますので、それぞれのジャンルで「私にとっての名曲」を絞るのもおもしろいかもしれません。

 世には名曲、名作、名人といわれる「名」がつくものが存在し、ほぼ一般化して認識されているものも多いでしょう。一方、私にとっての名曲は、経験値や根拠うんぬんというより、もっと直感的に「こりゃ名曲!」と感じているものばかりです。

 一つはMr.Childrenの「名もなき詩」です。なんとなくドラマ「妹よ」(1994)の主題歌だったと思い込んでいたら、同じ和久井映見でも「ピュア」(1996)の主題歌でした。軽い知的障害はあるが一つの才能に秀でたヒロイン、和久井映見がオープニングタイトルで白い羽を投げ広げる場面に、ちょうど曲のクライマックスが重なっていました。それがこのドラマの主題をすでに暗示しているようで印象的でした。おそらく私がミスチルにはまった最初のきっかけがこの曲だったと記憶しています。この後、「深海」のアルバムを買い、その後、15年くらいはずっとアルバムが出るたびに買い続けていました。この曲の音楽観、世界観にはまっており、今でもミスチルの中では最初でベストな不動の座を守り続けている曲です。いや、曲だけじゃなくて、「深海」はいまだにベストアルバムです。

 もう一つはレミオロメンの「粉雪」です。これもドラマ絡みですが、決してドラマに絡んでいることが必要十分条件と言っているのではなく、たまたまです。ちょうど海外から帰国してすぐのころ、母親が確定診断された難病、「脊髄小脳変性症」と同じ病に侵されていく少女(沢尻エリカ)の物語「1リットルの涙」の挿入歌として使われていました。ドラマ自体は最後のハッピーエンドが、ちょっと「とってつけた感」があり佳作の域を超えませんが、特にこの曲はドラマの中の一場面との密着感がすごく、また曲単独としても、「名曲といえばこの曲」のようにずっと残ってきました。主題歌のKの「Only Human」やレミオロメンのもうひとつの「3月9日」もかなりの名曲ですが、「粉雪」は越えていないですね。レミオロメン自体はその後しばらく聞きましたがいつのまにか聞かなくなりました。藤巻亮太の声質や歌は今でもとても好きです。

 さて最後はYumingだとは思ったのですが、どの曲を名曲とするのかは正直迷いました。すなわちほぼすべてが名曲だからです。メロディーの美しさと巧みさで言えば、間違いなくユーミンは業界No.1だと思っています。かといってすべての曲をくまなく聞いたわけでもなく、特に荒井由実の最初のほうはあまり知らないのですが。しかしベストの曲を選ぶわけではなく、「名曲」ということであるので、「海を見ていた午後」を選びたいと思います。とにかく「ソーダ水の中を貨物船が通る」、この歌詞は優れものですよね。また曲全体であれほど情景が細かく目に浮かぶように世界を描写している曲は、なかなかありません。この曲を聴きながらソーダ水じゃなくてもコーヒーでも飲んで、海を見ながらぼーっと過ごしていたいですよね。好きな本を片手に。名曲です。 

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