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#150 「暴露ばなし~前編」
世の中では、「暴露ばなし」とか「カミングアウト」とかいうキーワードは大人気ですよね。これは今に限ったことではなく、おそらく昔からみんな大好きなんじゃないでしょうか。なぜなのか。それは、このような話題は井戸端会議の中ではもっとも強力な起爆剤となるからです。井戸端会議は実は、これからの世界でサバイブするためにとても大事なものですよ。家にひきこもってパソコンを操っていても生き残れないのです。外に出てお互いにお話しして助け合うことが必要です。だから「暴露ばなし」はとても大切なのです・・・とまるで「風が吹けば桶屋が儲かる」を地で行くような出だしになりました。
さて、わざわざこんな遠回しの書き出しをしたのには理由があります。そう、何かの「暴露」をしようというわけです。それは、私と髪の毛の長い付き合いの歴史です。どうぞひいてしまわないで最後までお付き合いください。
髪の毛がたくさん抜けると思い始めたのは、実は遠い昔の高校生の時です。やはり(遅咲きの)思春期まっしぐらの時期ですので、とても悩みました。洗髪の後の抜け毛の本数を数えたり、乾かすときにすごく気を付けて一本一本ケアしたり(なので長い時間がかかりました)。まだ見た感じ大きな変化はありませんでしたが、学校で何と言われるかとても気になりました。専門の皮膚科に連れて行ってもらって塗り薬をもらったり、特別なブラシを買ったりといろいろ試しました。
おそらく、抜けるスピードが新幹線のようだったのはほんの一時期で、大学に入ったころにはゆっくりペースになっていたはずなのですが、一度トラウマになったことは簡単には変わりません。見かけもまだそれほど変わらないころ、私はあえて、そのころ流行っていた「ロン毛」にしました。まあ「ロン毛」という言葉が流行語になってきたのは1990年代になってからのころかららしく、当時は普通に「長髪」と呼んでいましたが。よく中村雅俊と間違えられました(ほんまかいな)。吉田拓郎の歌ではないですが、もう少しで肩まで届きそうでした。やはり洗髪後の気の使いようは尋常ではありませんでした。(写真下:大学の映研で変な自主映画に出ていたころ)

そのあとは髭を生やし始めました。学生運動の時代はすでにほぼ終焉の時を迎えていましたが、なんだか長髪、髭というバンカラを気どりたい年ごろだったのでしょう。ファッション的には、後輩たちには服装のセンスがいいと言われていい気になってましたが、まだ髪のことであれこれ言われることは幸いにもありませんでした。
「就職が決まって髭を剃ってきたとき~♬」はすでに髪形はロン毛から普通くらいに変わっていました。ロン毛で就職活動は出来まへんからねえ。
就職後2年で会社の同僚だった妻と結婚しました。その結婚式に備えるためだったと思いますが、私の髪の毛はいつもより盛り上がってセットされていました。まるでイメルダ夫人のように。その矢先に事件は起こったのです。式前の打ち合わせの時に、披露宴の司会をお願いした旧悪友が、座っていた私の頭を上から覗き込んで、「薄うなったなあ」と大きな声でつぶやいたのです。さすが旧悪友。思いがけない頭頂部からの先制攻撃に私は怒りや悲しみや憂鬱やいろんな気持ちがいっしょくたんになって、それからの打ち合わせは気もそぞろになってしまっていたのでした。 (写真下:1986年6月 結婚式で)

(「暴露ばなし~後編」に続く)
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