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#148 「IRODORI(彩り)」
取り立ててミスチル(Mr.Children)の大ファンだという訳でもなく、またファンだと大声で宣言したら、本当のファンに白い目で見られそうなくらいのものですが、あきっぽく移り気な私の音楽歴の中では、ミスチルはよく聞いた方だと思います。特に初期のころのアルバムには思い入れが強いものが多く、「深海」「ボレロ」「Discovery」あたりは大好きでした。特に「深海」は名作中の名作だと思っています。
桜井和寿という才能のかたまりのような人は、その耽美なメロディーラインもさることながら、特に「歌詞」の中にそれがいかんなく発揮されているように思います。桜井さんの描く世界は、ほとんどはあたたかさ、優しさに包まれていますが、ときに斜に構えた目で世界を見ていたり、ときに孤独に満ちていたり、ときに力強い言葉で人を励ましたり、縦横無尽に言葉を操ってこの世界を行き来している風です。
そのミスチルの音楽ももう何年も離れてしまっていましたが、最近、Apple Musicのプレイリストでお奨めの曲を順番に聞いていたら、以前は特段、気にも止めなかったナンバー、「彩り」にとても心を打たれてしまいました。何なんでしょう。自分でもよくわからないのですが、巧みに選ばれている言葉、平易なあいさつの繰り返し、メロディーラインの盛り上がり、どれをとっても過去には感じなかったものが溢れ出てきて、ちょっとウルっと来てしまいました。
今の世界は種々様々な色の組み合わせでできていること、その色の組み合わせを人々が受け入れてそれに共感することで初めて幸せな社会になること、自分が絵を描くときにもまず大切にするのは「色」であり、それをどう使い、どう組み合わせるかには、いつも頭を悩ませることなどが、この曲を聴いていると浮かんでは消えていきます。
もうあまり私の勝手なうんちくを書いても面白くないので、「彩り」の歌詞の二番から最後までを紹介して今日は終わることにします。

今 社会とか世界のどこかで起こる大きな出来事を
取り上げて議論して
少し自分が高尚な人種になれた気がして
夜が明けて また小さな庶民
憧れにはほど遠くって 手を伸ばしても届かなくて
カタログは付箋したまんま ゴミ箱に捨てるのがオチ
そして些細な生き甲斐は 時に馬鹿馬鹿しく思える
あわてて僕は彩(いろ)を探す
にじんでいても 金 銀 紫
ただいま おかえり
ただいま おかえり
なんてことのない作業が この世界を回り回って
何処の誰かも知らない人の 笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に ふやしていく 水色 オレンジ
詩:桜井和寿 (2007)「彩り」 写真:彩りといえばやはり最初に浮かぶのは紅葉(朝日新聞HPより)
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