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#118 「ビッグチェンジ」
10年間のことを英語でディケイド(Decade)といいます。面白いですね。わざわざ10年間に特別な単語があるなんて。「Ten Years」と言えばすむことを、まるで一つの称号が与えられているようなものです。10年間というのはきっと何かの歴史が生まれる、作られるひとつの単位ということでしょうね。
そして、そのように自分の歴史を10年ごとに輪切りにして考えてみると、ちょっとおもしろいことに気が付きました。20代、40代、60代に自分史上でもとても大きな変化(Big Change)が起こっていました。10代、30代、50代は特に大きな変化はなく、「現状維持の10年」のような時が流れていたのです。この(私の人生では)20年ごとに大きな変化が起こることを仮に「やのけんの20年法則」と呼ぶことにします。
まず20代は就職、結婚、そしてシンガポール赴任です。40代は日本語学校の立ち上げと撤退、介護畑への侵入(侵入?)です。60代は介護現場からの撤退と地域福祉への侵攻です。侵攻?だんだん言葉が恐ろしくなってきました。
考えてみれば、私のビッグチェンジはつねに「何かからの撤退と何か新しいものへの侵略」がセットになっていました(どなたか、撤退の反対語のいい語彙を教えてくれませんかね)。20代、人生初の就職をとってみれば「学生時代からの撤退と労働生活への参入」ということでしょうか(参入に落ち着きました)。
自分自身の性格を考えれば、優柔不断で、思い悩んだり、考えが一貫していなかったり、また八方美人的なところがあり、つまりは決して一本筋の通っているものではなかったように思います。路線変更が多かったのもそのせいでしょう。
だけど一方で「大きなことを自分でも驚くほど思い切って決める」ことも多かったと思います。そして、それは、そこにある思いやこだわりの強さが、そこに安定して現状維持に満足することを上回った結果の表れだったということかもしれません。いろいろな路線変更のあった人生、ロング・アンド・ワインディング・ロードでしたが、その奥底にあった思いは、思い返せばとてもシンプルなものであったと思います。それは「人の喜ぶ顔が見たい」ということでした。

「やのけんの20年法則」によれば、これから70代にかけては、わりに安定した波風の少ない時間が流れるかもしれません。そして次のビッグチェンジが80代。それがたとえ「人生からの撤退」であったとしても、逆に言えば、そのとき「ああ、いい人生だった」と思えれば思い残すことはないような気がします。それが一番。逆にそこまで生きられればまるもうけです。
最後に、とても好きな竹内まりやさんの歌の歌詞を紹介して終わります。
I say it’s fine to be 60
You say it’s alright to be 70
And they say still good to be 80
But I’ll maybe live over 90
君のデニムの青が 褪せていくほど
味わい増すように
長い旅路の果てに 輝く何かが
誰にでもあるさ
竹内まりや「人生の扉」(2007)
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