#076 「64歳 禁断の入院生活(最終回)~禁断の果実編~」

さあ、いよいよ禁断の果実編です。ってそんなに勿体つけるほどのことでもないですが、入院の記憶は刻々と過去のものになり、それに次に書きたいブログネタが今朝見ると42も溜まっていたので、とにかく今日はまとめます。

 入院中の食事の形態は患者さんそれぞれですが、私みたいに手術の翌日以降は常食でもいいという患者も、病院ですからもちろん餃子とか寿司とかステーキとかデザートにフルーツポンチとかが出るはずもありません。手術日は完全絶食でしたが、翌日から退院まで朝昼晩数えて全16食、お肉が出たのは3回(肉を数える男)、残りはほぼ煮つけなどのお魚でした。副菜も一品程度。ご飯はわりとたっぷりありましたが、それでも全体で私が普段食べる量のだいたい半分くらいでしょうか。いや、それは普段食べすぎという話です。

 それでも味付けは決して悪くないし、何より栄養バランスなどの工夫がされています。まあ入院すると体はなまる反面、確実に健康になりますよね。そして、特に手術後の静養目的の「筋書きのない」残りの日々、この三度の食事がなによりも楽しみになるのです。一日の生活にまず三度の食事がバーンと配置され、その間を何かで埋めていくという感覚です。だいたい時計を見ては、「食事時間まであと何時間」と指折り数える日々でした。

 しかし、やはり入院生活と普段のギャップは大きい。特に飲食の面で。いかに普段が不摂生かというのがわかります。私みたいに在宅中心で仕事をしていると、やはりおやつ、コーヒー、おやつ、コーヒー、油っこい食事の爆食い・・・とかになります。改めようと思いつつ、この「手」と「口」が言うことを聞いてくれません。

 そこで、普段とのギャップでストレスが爆発してしまわないように(またまた大げさな)この規則正しい入院生活の中で「少しだけタガを緩める時間を作ろう」というルールを作り、それをルーティーンとしました。もちろん禁止されていたものは外しました。カフェイン入りの飲料とか刺激物とか(まあ病院には売っていませんが)。幸いなことにバルーンをぶら下げながら売店に行くことはできました。ところがあろうことか、土日が売店は閉まっていたので、月曜日の朝一で売店に走り、目ざとく発見して仕入れたものが「雪化粧いちじく」、小さいサイズにしたいちじくのドライフルーツに粉砂糖をまぶしたもので絶品でした。そして残り2日半でこれを小分けにしてボチボチと食べながらお茶を飲む、まさに禁断生活の中のひと時の「禁断の果実」タイムとなったのです。禁断の果実タイムは食べ物だけではなく、飲み物でもありました。今回発見したのが「とろっとなめらか杏仁烏龍」そして定番の「大納言しるこ」です。なんや、甘いもんばっかりやん。これはさすがにあかんでしょ。

 人間、自分に制約をかけ、身体に負荷をかけたり、禁欲したりすることは必要なことには違いありません。しかし、そればかりが続くと逆にストレスが溜って、心の健康には悪くなる可能性もありますよね。それがちゃんとルール化できるなら、「タガを緩める」時間を作ることも大切ですよね。

 問題はそれを入院中にするか~ということです(笑)。

 「64歳 禁断の入院生活」シリーズ、おわり。

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