#045 「何もできなくて・・・夏」

よく聞きます。「今年の夏は異常やなあ」とか「こんなに暑いの初めてや」とか。まあ、確かに暑いですし、実際に平均気温も例年に比べて若干上がってきてはいますが、今の地球温暖化の流れから言って、ある程度想定内のものであるはずです。科学的には想定内、しかし心情的には想定外、それがここ最近の夏の思いです。ある意味、「ごあいさつの枕詞」としても使われている感じがします。

 しかし、実際のところはどうなんでしょう。本当に科学的に想定内で、そんなに取り立てて言うことではないのでしょうか。最近の夏は実際の気温以上に暑く感じませんか。そこを掘り下げても、私には答えが出せませんが、実際の気温以上に暑くさせる何かが今の日本にはあるのではないでしょうか。そして世界的にもそれがあるんじゃないのでしょうか。

 例えば、その「異常に暑いという体感」を私たち家族について個別に言えば、それなりに年齢を積み重ねてきて、基礎体力が衰えてきたことによって、実際よりも暑く、いや暑さというよりもしんどく感じるようになった事実はあるかもしれません。超高齢化社会の日本では、一般的にそういう体感の人が多くなってきたのは事実でしょう。

 しかし、それだけなのかな。本当にこの暑さは身に応えます。私は若い時から、身体の中に熱が溜まる体質で、シンガポール滞在時に漢方のお店で診てもらったら実際にそうだったので、身体の中を冷やす漢方を処方してもらい飲んでいました。そんな体質なので、特別応えます。私の他の家族二人はというと、どちらかと言えば寒がりで真逆なので、一年中、空調や床暖房の温度のことでの確執が耐えません。でも、それぞれに体質だから仕方なく、どこかで妥協点を探らざるを得ません。私はしばしばアイスノンを二つくらい抱きかかえていますし、家族は毛布やショールをかぶったりしています。体質というものは罪ですよね。

 しかし、家の中の空調では妥協したとしても、全体として特に暑く感じる、この夏には、家族全員が閉口していることは確かです。まず全般的に体がだるく、意欲がわきません。新しいアイデアがわきません。ルーティーンややるべきことはこなせてもそれ以上に何かに挑戦してみようという気になりません。心底、早くこの夏が過ぎ去り、秋になればいいと願っています。そして、秋になれば、この夏の暑さをすっかり忘れてしまうのです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言ったものです。酷暑に限らず、地震、大雨被害、台風、すべての自然災害がそうですが、だいたい、ある一定の時期が過ぎれば、人間たちはスコンと忘れてしまいます。そして何事もなかったかのように、仕事やレジャーや毎日のルーティーンをこなしていく生活にもどるわけです。これは人間に特有のサバイバル術かもしれません。

 いいと思います。少なくとも、毎日びくびくしながら生活しているよりも、悪いことは忘れて楽しめるときに楽しむのは、人生のQOLを上げるためには必要なことでしょう。そして、人間、いつしかこの世を去るときが来ることを心の片隅に置いて、それを意識して準備しておくことも同時に必要でしょう。

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