#039 「無人販売店」

最近やたらと見かけるのが、無人販売店です。やはり人手不足の波が大きくなっているのでしょうか。あるいは人手不足というより、どんな商売でも一番負担になる人件費を削って、最大限に儲けようとする企てでしょうか。

 私が無人販売店というと、一番に思い浮かべるのが、地方の農道の一角に作られた、野菜などの無人販売です。商売というよりも、「お裾分け」感覚で、自由に持って帰って「お気もち」だけ箱に入れていくというシステムが多いんじゃないでしょうか。いつも思うのが、お金を入れずにそのまま持ち帰る人もいるんじゃないかとか、支払い箱を開けて中のお金をくすめる人もいるんじゃないかとか、非常に世俗的な心配です。でも農家の方々は、それもおり込み済みなのでしょう。よくドラマなどで「田舎に引っ越してきた若者に、近隣の農家の人々が日ごと収穫物を差し入れる」なんてシーンがありますが、「お裾分け文化」はとても素晴らしく、またそういう地にいることを羨ましく感じたりもします。

 それが、私の近辺でも、先ず「餃子」の無人販売店が出来て、珍しいなと興味を持って見ていたら、冷凍餃子の同業他社の無人販売店がまたたく間に広がっていった感があります。あ、ここにも無人の餃子、あそこにも無人の餃子という様子です。最初の無人販売店が当たったのかどうかは定かではありませんが、テレビドキュメンタリーなどで紹介されたような記憶があります。

 そのうちに、食パン、お肉、ホルモンなど、売り切りが予想されるもの、あるいは冷凍保存がきくものの無人販売が広がっているようです。そして、古着の無人販売です。古着好きな私には魅力的に見えましたが、最初は品揃えが今一つで、最近は品揃えもだいぶん良くなってきたようですが(チェックは怠らないのです)、何故か買うことに踏み切れないのです。これは古着に限らず、ほかの商品でも同様です。

 人によってかなり違いがあると思いますので、あくまで個人的な意見としてですが、なぜ無人販売店で買おうという気にならないのかを分析してみました。ひとつには、物を買う一連の動作、物色 → 決定 →支払いの流れの中のどこかで下手なことをしないか、疑われないか、カメラでその様子を覗かれているんじゃないかという杞憂です。もうひとつは、買い物をする以上、やはり「おすすめ」とか「品物の説明」とか、はたまた「世間話し」をしながら買った方がいいものが買えるんじゃないかという思いです。たまには、少し値切ったり、店主さんの方から「50円引きでええよ」とか言われたりして。

 すぐ近くに神戸でも一、二位を争う大きな商店街があるという非常に恵まれた環境にあるので、余計にそういう「買い物への思いやこだわり」が強いのかもしれませんが、そういった何気ないお客と店員の会話は、暮らしを活性化するためにも大切なものではないかと思います。効率に頼りすぎて、大切なものを忘れないようにしていきたいものです。

(写真、「ロカポ」ネットサイトより)

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