#038 「なんくるないさあ」

方言が好きです。特になぜだか南方系の方言が好きで、鹿児島とか沖縄とかは、方言を聞きに行くだけでもいいから行きたいと思っています。その鹿児島旅行は昨年実現しました。鹿児島にいるお友達のおかげで本当に久々の旅行はとても楽しく実のあるものになりました。

 方言は本当にその人の宝箱だと思っています。都会に出てきても、ずっと方言で通している方にはとても好感が持てますし、話しているこちらも和やかな気持ちになります。

 私について言えば、郷に入れば郷に従えをモットーにしているわけではまったくないのですが、生まれついての性質というのか、どうしても相手に合わせることで、変な話し方になってしまいます。つまり自分の「関西弁」というアイデンティティーを捨てたわけじゃないのに、どこかに隠れてしまって、自然に相手に合わせてしまうのです。いやいや、言葉まで合わせなくてもいいのにと思うのですが、相手が関西人でなければ、関西弁がうまく話せなくなってしまうのです。聞いた音を再現することにたけている、この耳のせいでしょうか。

 それはさておき、繰り返しますが、方言は宝箱です。人生の最後まで大切にとって置きたいものです。先日、父の口から「お水いたー(お水ちょうだい)」という昔の思い出話をはからずも耳にすることができ、普段は方言を隠匿している父から出たのでとても嬉しかったです。

 さて、南方系の方言に戻りますが、沖縄の「なんくるないさあ」という言葉は、朝ドラでも有名になり、私も大好きな言葉のひとつです。「大丈夫、なんてことない」とか「気にせず、のんびり行こうよ」のような意味だと思っていましたが、元は「まくっとぅそーけーなんくるないさ」の定型句の中の一部で、全体としては「人事をつくして天命を待つ」ような意味で、その中の一部がとりだされて有名になったということです。まあ、「人事をつくして天命を待つ」は私のモットーでもあるので、どちらにせよ好きには違いありません。

 思うに、この「なんくるないさあ」のような意味を持つ方言は日本各地にもありますが、世界にもあります。意味が完全に同じかどうかは確信を持って言えませんが、私が東南アジアに駐在していたときにもいたるところにありました。

 シンガポールやマレーシアでは、人はすぐに「ネバマイン(Never mind)」あるいは、その辺り特有の接尾語をつけて、「ネバマイラー!(Never mind lah!)」と言っていました。人がした失敗を責めないように「ネバマイン」というのはわかりますが、たまに自分が失敗して人に言い訳するときも「ネバマイラー!」(気にしない、気にしない)と笑顔を振りまくので、最初は正直、イラっと来ました。いやいや、マインドしてるのは俺だぞ!と。一種の処世術なのか、あまりに大らかなのか、だんだん気にならなくなりました。

 タイには有名な「マイペンライ」、中国にも「没問題(メイウンティー)」とかあります。ちなみに英語圏では「Never mind」が通常なのに、日本に来たら「ドンマイ」になってますよね。あまり「ネバマイ!」と言うのは聞いたことがありません。

 関西では、さしずめ「ええやんか」とか「ええねん」でしょうか。まあ他にもあるかもしれませんが、まあええねん。

※各国、各地で同じような意味の言葉や方言があったら、どうぞコメントにお願いします。

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